らじっくの板花です。
くじらってどうやって釣ってるんですか?
お話ししていると、ちょいちょい聞かれる声なのですが、
くじらは釣ってません。突いてます。
マグロやかつおなど一本釣りや、延縄のイメージで釣るという発想なのでしょうが、身体が大きすぎるのと、特定の餌だけを狙って食べるのでなく、群れごと丸呑みなので、釣り餌を仕掛けようがないということで、釣るという捕り方には発展しなかったんじゃないかと思います。
イルカでしたら食性としては一回で一匹づつ食べるので、釣れるかもしれませんが、延縄漁などではうまいこと餌だけ持って行くそうです。ほ乳類だけあって、魚よりは賢いようです。
では、突いてます、何で突いてます?銛で突いてます。
突いているといっても、江戸時代までの人が投げて突く、なんてことは近代捕鯨ではいたしません。
キャッチャー船(くじらを捕獲する船。他に何かあんのかい、ということになると思うのですが、
この辺についてはまた後ほど。)の船首に捕鯨砲なる物が設置されていて、銛を大砲のように火薬で打ち出す。
という仕組みです。この銛は長さ1mくらいで30~40kg位あります。そしてこの銛、先端にも火薬がついていて、命中とともに炸裂する仕組みになっています。
くじらをなるべく苦しめない(くじらが暴れないというのは船の安全にも関わる)、銛がしっかり刺さるようにということのようです。
引き金一つといっても、結局は人の手によって発射されるので、砲手さんの腕前はとても大事になってきます。
くじらの息継ぎで浮上するタイミングに合わせて発射するのですが、揺れる船上で、一瞬のタイミングに合わせて
狙いを定めるというのは、やはり経験値とセンスが必要になってきます。
狙いを外さないというのは勿論、命中させる場所、角度なども重要になってきます。
捕獲までの時間や製品の作れる量に関わってきます。
この砲手さん、昔から「テッポウさん」と呼ばれ、捕鯨船では花形のポジションだったようです。
もちろん現在でも、砲手は花形です(^^)
くじらは釣ってませんというのが、少しでも伝わったかな~と思います。
前回は船でのメールについて書かせていただきました。
今回は電話についてです。(^^)
メールは1日2回と書きましたが、電話は特に制限はありません。
船には電話室が2部屋あって、そこに各1台電話機が設置されています。
衛星電話を使うため、
国際電話カードというプリペイドカードを事前に購入しておいて、
それを使って電話するのですが、カードの残高がある限り、24時間いつでも
電話は出来ます。
ここまではいいのですが、なんせバカがつくほど料金が高い。
大体ですが、1分間で200円近くしたと思います。
5000円や8000円のカードを使うのですが、まともに使うと
あっという間になくなります。
ところが、この衛星電話、土日祝は料金が半額になるのです。
なので、皆ここに合わせて電話します。
みんながここで電話する。しかも仕事終わり、電話は2つしかない。
船員は100人超いる。
はい、電話待ちの列です。
と、なるので、暗黙の了解で通話は1人15分までとなっています。
そして、ずっと待ってるのも阿呆らしいので、部屋で飲みながらちょいちょい
空いたか様子を見に行き、空いたときに電話するという塩梅です。
まあ、あまり頻繁に電話していると、
後で痛い目を見ますので(恐ろしい通話金額になります)、
そして、衛星電話ということもあり、
通話が途中で途切れたり、途中聞き取りにくかったり、不具合も多いので、私は15分でちょうどよかったですね(^^)
あまり、家族の声を聞いてしまうと、望郷の念に駆られ、却ってヤキモキするので、
月に1度くらいにしていました。というより、久々に電話したのに、以外に対応が素っ気なかったりして
イライラしてしまうからだと、書いているうちに記憶が当時に蘇ってきました。
「亭主達者で留守がいい」ってやつですかね(^_^;)
でも、小さい子供達を一人で家で看て、大変だったと思います。嫁さんには頭が上がりません。
という結びに一応しておきたいと思います(^^)
さて、何を書こうかと思いましたが、そういえば、船での生活について、あまり触れてなかった
気がするので、少し触れてみようかと思います。
船上生活は皆さんにはあまり、馴染みがないかと思いますが
陸と一番違うところは、狭いというところもそうなのですが、
今の時代ですと、ネット環境がないというのが一番になるのではないでしょうか。
他の内航船や外航船は知りませんが、私の船ではネット環境なるものはありませんでした。
とはいえ、完全に陸との連絡手段がないわけではなく、衛生を使った通信で、メール、電話ができました。
メールは船のサーバで取りまとめて一日2回送受信をしてくれます。
陸の家族との連絡は主にこれを使っていました。
ただ、問題は一日二回しかないので、単純に12時間ごとの
通信になります。
例えば、あさ6時夕方6時の送受信だとすると、子供の運動会前日の夜に、
向こうが「明日は運動会だよ」というメールを打つとします。これが届くのは当日あさ6時です。
これに私が「運動会どうかな、楽しみだ」という返信を打つと、向こうに届くのは当日の夕方6時です。
「楽しみだ」というメールが向こうに届く頃には既に、終わってしまっているというわけです。
リアルタイムでの交信が出来ないのです。
慣れてくると、最初の返信の時点で「どうだった?」と聞くわけですが、
それはそれで、何か変なわけです。
「明日は運動会だよ。子供も楽しみにしてるよ」に対して
「運動会どうだった?」なんていう返答を陸でしたら、
なんだこの人はと思われてしまいますね。
まあ、船だと交信できるだけで嬉しいので、リアルタイムだなんだは
気にしないのですが(^_^;)
電話につてはまた後ほど~。
今週月曜日、12日ですが、調査捕鯨船団が南氷洋に向けて出航いたしました。
調査母船日新丸は広島県因島から、目視採集船勇新丸は下関から、通常通り出港です。
今航も140日程度の長い航海になります。出航の際、船長の「元気で行ってきます。よいお年を。」という挨拶が長い航海を感じさせてくれます。こういう画像を見ると、今も自分が乗っている気分に戻りますね。
安航を祈るとともに、船員さんもお身体気を付けて、元気に帰ってきてほしいものです。
特に南氷洋では、何かあって緊急搬送となっても、地理的に緊急には搬送されません。(大体、オーストラリアやニュージーランドの病院へ行きますが、船は入れてもらえないので、途中、ヘリコプターで搬送されます。受け渡し地点に行くまでに時間がかかる。)陸では助かる命でも、海の上では致命傷となります。
それだけ、健康には気を遣わなければなりません。
とはいえ、船上での生活は陸とは違って、娯楽が少ないのも事実。ネット環境など勿論ありません。
DVDを観たり、ゲームをしたり読書をしたりと過ごしますが、やはりお酒は切り離せません(^_^;)
毎航、休肝日を作りましょうというアナウンスがあり、守っている方もいましたが、私は作れませんでした…。
陸でも守ってないですから当然かな(^_^;)
まあ、とにかく目標頭数を達成し、無事で帰ってくることを祈りましょう。
11月10.11と、東京はあきる野市の「あきる野産業祭」に参加してきました。
私どもは「くじら串カツ」「くじら缶」「くじらジャーキー」の販売をしました。
串カツについてはおかげさまで、準備した分、全て完売することが出来ました。
10時から午後4時までなのですが、両日とも1時頃に完売してしまい、
むしろ足りなかったかなという感です。
お手伝いいただいた先輩からは、来年は2000本打てという指令をいただくほどでした。
他のものについても、ジャーキーは2日目早々に完売してしまい、缶詰も残りわずかというところまで
いけました。
くじら肉を初めて食べるという方もいらっしゃって、くじら肉を知ってもらうという点では
とてもいい機会だったのではないかと思っています。
このような多くの方がいらっしゃるイベントに積極的に参加していき、皆様にくじら肉を
もっと知っていただく機会作りをしていくのも、くじら肉普及委員として必要だなと感じた日でした。